陽の章 五禽戯


19「気」を感じるのは

 

 「気」はいたるところに存在していますが、「目」で見ることはできません。「耳」でもとらえることはできません。「鼻」で匂うことも、「舌」で味わうこともできません。

 「気」を感じるには「触覚」つまり「皮膚感覚」をある継続的な実践によって発達させることが必要です。

 「触覚」は最も原初的な感覚器官です。一般に感覚器官は「五感」と言いますが、実は、「視覚」も「聴覚」も、「味覚」も、「嗅覚」も、すべて、「触覚」が特別な進化を遂げたものです。ですから、感覚器官は「四感覚+触覚」なのです。

 目は色や光を感じるために触覚が発達したものです。耳は鼓膜の触覚が音を知覚するように発達しました。舌は味を感じるために触覚が発達し、鼻は匂いを感じるように触覚が変化しました。しかし、これら四感覚は「気」を感じることはできません。

「気」は触覚、つまり皮膚感覚でとらえるのです。全身の六〇兆の各細胞が「触覚」を持っています。体内の「気」を強化することによって、体の全細胞の触覚が鋭敏になります。

 そしてこの触覚を研ぎ澄まされることによって、自分の体内の状態を「内視」することができるようになります。さらに、周囲の「気」とつながり、他人の体内の状態を自分の体の中に映して「観る」こともできるようになります。

 そのためには、体内の「気」を補充し、強化し、精妙化する「気功」の実践が必要なのです。


 

 
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